ヒカリノ公認心理師ノート

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オープンダイアローグの基本知識

最近になって、今さらですが、オープンダイアローグが気になり始めました。
ちょっと調べてみると、これはおもしろい!大変興味深い!役に立ちそう!

ということで、ちゃんと学んでいきたいと思いました。

まずは、基本的な概念や考え方をまとめておきたいと思います。

今、初めて「オープンダイアローグ」って聞いた、なにそれ美味しいの?って人でも大丈夫です(笑)
私と一緒にイチから勉強していきましょう。

【そもそもダイアローグってなに?】
「対話」って意味です。
対義語は「モノローグ(独り言)」です。


【オープンダイアローグってなに?】
日本語で言えば「開かれた対話」。

フィンランドの西ラップランド地方に位置するケロプダス病院のファミリー・セラピストを中心に、1980年代から実践されている統合失調症に対する治療的介入の手法の1つです。
また、単に手法というばかりではなく、実践のためのシステムや思想を指す言葉でもあります。

患者や家族から連絡・依頼があったら24時間以内にチームで訪問し(アウトリーチ)、繰り返しの対話を通して症状緩和を目指します。
統合失調症うつ病、引きこもりなどの治療に大きな成果をあげており、今後は発達障害の治療効果も期待されています。
最近では、統合失調症等の精神疾患に限らず、会社、組織、家族等あらゆる場面において個々の生き方やその環境に置いての過ごし方をスムーズにする目的で利用され始めています。


【どんなチームで構成されて、どんな風に対話するの?】

ミーティングの参加者は、
患者、家族、友人、医師、看護師、セラピストなど、患者に関わる全ての人が対象です。
ミーティングは基本的に全員参加で、医療チームでの話し合いもすべて患者の眼の前で行います。
患者の同意なしに進めることはありません。

依頼があったら24時間以内にチームで患者の家に出向き(アウトリーチ)、
時間にして、1時間~1時間半くらい、話をしっかり聞きます。
次の約束もできれば翌日、あるいはできるだけ近い日時を設定し、
数週間の間、繰り返し訪問しては対話を繰り返します。

複数のメンバーがいた方が聞いてもらえた感じが深まります。
ただし、メンバーは患者本人が安心できる人を選びます。
本人が入ってほしくない人には席を外してもらいます。

医師の指導を仰ぐなどの上下関係はなく
専門家も家族や友人も同じ立場で発言し、耳を傾けます。

可能な限り「開かれた質問(「はい/いいえ」以上の答えが求められる質問)」から対話を始め、
治療チームは患者やその他のメンバーの発言すべてに応答しなければなりません。

オープンダイアローグでは、支援を必要とする主体がいて、その主体との対話が軸となります。
対話の主役は主体であり、周囲はそれに対して感想などを返していきます。
そうするうちに、中心にいる患者の症状が消えていくというわけです。


【Sz治療に効果的って聞いたけど本当?】

オープンダイアローグを導入した西ラップランド地方では、統合失調症患者の入院治療期間が平均19日短縮されました。
また、通常治療では服薬が必要な患者が、この療法後は35%しか必要としませんでした。
さらに2年後の予後調査では、再発がないか軽微なものにとどまっていた患者は82%(通常治療50%)、再発率も24%(同71%)と大きな成果を上げています。


【なんで対話にそんな効果があるの?】

ノローグ(独り言)ではなくダイアローグ(対話)なところがポイントです。
例えば、Sz患者の妄想とはモノローグであり、患者をモノローグから抜け出させるのが周囲との対話なのです。

議論、説得、説明など、結論ありきで、相手にわからせよう、伝えよう、意見を変えてやろうという意図のやりとりは、
すべて対話ではなくモノローグと考えてください。

対話の目的は、対話を続けることそれ自体です。
相手の気持が変わる、結論が変わる、選択肢が変わることを目指すのは対話ではありません。
治療の成果は、あくまで対話の副産物なのです。

また、オープンダイアローグには、効果を高めるためのルールがいくつかあります。
・クライアント(患者)不在のところでクライアントに関することを決めてはいけない
・治療者だけで話さず必ずクライアントの眼の前で話す
・上下関係、権力構造を想定せず、対等な関係を重視する。
など


【ODで重視する対等性って?】

オープンダイアローグでは、治療者と対象者を全く対等な存在として扱います。
「治療者は一般的/客観的な世界に住んでいて、患者は特殊/主観的な世界に住んでいる」とは決して考えません。


【チームでやる意義は?】

一対一ではなく、第三者に入ってもらうと、視点が変わり、色々なことに気づきやすくなります。
また、いろいろな人が入るほど、参加者間の上下関係がなくなり、関係性がフラットに近づきます。


【ODについてはなんとなく分かったけど、チームとかアウトリーチとかハードル高くて無理そう。1人でできないの?】

1人でやる方法もあります。
例えば、一人二役で、治療者の中での複数の考えや選択肢、迷いなどを口に出して言ってみるのです。
それを患者が聞いて、さらに対話を深めます。


【リフレクティングってなに?】

ODの技法の1つに「リフレクティング」があります。
クライアントの前で専門家同士がこれまでの見立てや感想、今後の方針などを話し合う形を取る手法です。
例えば「この人はこういうことをがんばっていると思う」とか「努力が及ばないときには治療を受けてみるのもいいのでは」など。


参考ページ
https://www.hakuhodofoundation.or.jp/kodomoken/column/talks/talk01/


みなさん、いかがだったでしょうか。
ODについては、私も学び始めたばかりなので、今後も知識をアップデートしていけたらと思います。



また、オープンダイアローグ、コラボレイティブアプローチなどの提唱者が集まるオンライン国際会議が2021年11月にあります。
申し込み締め切りが10月末までですので、ご興味ある方はお急ぎください。

ダイアローグ国際会議オンライン(DICO)2021
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http://dlg-japan.net/japanese/