ヒカリノ公認心理師ノート

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P循環療法とは

P循環療法をご存知でしょうか?

by カエレバ



家族療法やシステムズアプローチにおいて、もはや「神」的な存在である東豊先生が(現時点で)最終的に行き着いた究極型の心理療法です。

言い換えれば、P循環療法を学べば、
対人援助職に必要な✨神レベル✨の「考え方・態度・素質」が身につきます(笑)

細かな理論や技法ではなく、
対人援助職としての「在り方」と言っても良いと思います。
「do(やり方)」ではなく、「be(在り方)」を学ぶ。
各論ではく、本質を学ぶ。

それは意外と単純で実践しやすい。
なのに奥深い
という不思議な魅力があります。

P循環療法は全てのセラピスト、
全ての人々にお勧めできます!

では、中身を見ていきましょう!


理論

まずは、P循環療法の中核理論を紹介します。

「P・N 循環理論」では,
人の心の中に P (ポジティブ)要素と N(ネガティブ) 要素 の 2 つの要素があると考えます。

P 要素とは「愛」「受容」「思 いやり」「勇気」「感謝」「自己肯定感」「利他心」などです。
N 要素は「怒り」「不満」「妬み」「傲慢」「自己(他者) 否定」「利己心」などです。

P・N 要素はともに日々刻々、心の中に占める割合が変わります。

ある人の心の中で P 要素がしめる割合が多くなると,その人のまわりに幸運な出来事が起こりやすくなります。
これは心と現実の間で P 要素が循環する「 P 循環」が形成されているからと考えます。

同様に
ある人の心の中で N 要素がしめる割合が多くなると,その人のまわりに不 幸な出来事が起こりがちになります。
これは心と現実の間で N 要素が循環する「 N 循環」が形成されているからと考えます。

このように1人の人の“心と現実の間“で P 循環 or N 循環が形成 されます(個人内循環)

同様に、対人関係や対人コミュニケーション でも P 循環 or N 循環が生じます(個人間循環)。

したがって、心理療法などの 対人援助の究極の目的は「 P 循環の形成」と言えます。
面接内で P 循環を形成することにより,クライエントの日常 に P 循環が現象化していくことを目指します。
その結果,症状や問題の解消につながる,という仮説が「P・N 循環理論」です。


P循環療法の進め方
1.Th自身がP要素(P気)を充填する
2.ThーCl間でP循環を起こす
3.Cl自身がP気を養えるようにする(Cl内でP循環を起こす)
4.Clと周囲の人との間でP循環が起こるようにする
5.結果、ClのP気が強くなり症状や問題が解消する

1.Th自身がP要素(P気)を充填する

面接場面で、P循環を起こすには、
何よりもまずはTh(治療者・支援者)が自分の心にP要素(P気)を充填しておく必要があります。

Th自身にP要素がなければ、治療関係や治療場面でP循環を起こせないからです。

逆にThの心の中にN要素が満載だと、治療場面でN循環が起こりやすくなります。

P要素とN要素どちらが優勢か一例を紹介します。


N要素が強い時は
「今日の面接はうまくいくかな」と不安になっています
(この状態では自分に意識が向いています。結局は「自分のために」という利己的マインドになっています)。

P要素が強い時は
「今日の面接でClさんのために何ができるかな」と思いやりや配慮の気持ちに満ち溢れています。
(この状態だと相手に意識が向いています。「相手のために」という利他的なマインドになっています)。


N要素が強い時は、問題やネガティブな面に目が向きやすくなります。
P要素が強い時は、Clのリソースや強み、良い行動などポジティブな面に目が向きやすくなります。


N要素が強い時は
「なんだこの人」「ただの甘えじゃん」などとClさんに腹立ったしい気持ちが生じやすくなります。

P要素が強い時は
「この人はこれまでこんな大変な環境で頑張って耐えてこられたのだな」などとClさんに思いやりや労い、受容の気持ちが生じやすくなります。


寝不足で疲れが溜まっているときは、自然とN要素が溜まりやすくなります。
十分な睡眠を取って体調が良い時は、自然とP要素が溜まりやすくなります。


N要素が強い時は「もっといいことないかな」と思います。
P要素が強い時は「生きているだけで儲け物。今日も良い日だった」と思います。

いかがでしょうか。
無自覚のうちにN要素を溜めてないでしょうか。

多くの方は無自覚のうちにN要素を溜めがちです。

もし、N要素が溜まっていたら、それを放置しないことが大切です。

できるだけN要素を心から排出し、P要素を充填することが望まれます。

では、それはどうしたらP要素を溜められるのでしょうか。

・P要素を含む言葉を口に出す。態度で表す。
・P要素が強い人と接する。会話する。見る。
・P要素が強い場所に行く
・他人に感謝する。
・普通に流れている日常、今この状況に感謝する

などが挙げられます。

中でもオススメは感謝業です。

ありがとうございます」という感謝の言葉にはすごい力があります。
誰かに特別な配慮をもらった時には自然と感謝の言葉が出ると思いますが、
私のオススメは、今この瞬間の何気ないこと、目の前にある当たり前のことにも感謝するということです。

「仕事をする場所、机、パソコン、業務を与えてもらってありがたい」
「今日も温かい食事が食べられてありがたい」
「今日は家族と一緒に休日を過ごすことができました。ステキな休日をありがとうございます」
「スーパーで売っているこの魚、どこかの漁師さんが獲って、運送屋さんが運んで、スーパーの人が並べてくれて、こんなに手間がかかっているのに私が300円で買える。ありがたい」
などなど・・・。

感謝の言葉を心の中で唱えるだけで、心の中からN感情が減り、P感情が充填されるのが実感できます。

「胡散臭い」とか思わず、「エビデンスは?」とか言わず、
そういうマインドの話をしているのだとご理解いただくことが大切です。


2.ThーCl間でP循環を起こす

さて、Th自身の心にP気を充填したら、
今後はClさんにそれを分かち合います。

Clさんは強いN気をまとってやってくることが多いです。

それに負けないくらい、それを温かく受け止められるくらい自分がP気を纏っていることが大切です。

Clさんはネガティブな言葉(N要素を纏った言葉)をたくさん言うことでしょう。
それを無防備に受け取れば、Thの中にN要素が強くなり、N要素を伝え返すことで、N循環が形成されていまいます。

そうならないように、
まずは、ClのN要素を、ThのP要素で温かく受け止めることが大切です。
受容、共感、労い、微笑み、配慮など、まずは温かく穏やかな眼差しと表情で傾聴するだけでもN循環は防げます。

そして、コンプリメントやリフレームなどの技法を使って、P感情を含む言葉を投げかけることで
P循環を起こすことができます。

3.Cl自身がP気を養えるようにする(Cl内でP循環を起こす)

面接内でP循環が起これば、今度は“Clさんの心の中でもP循環が起こるように指導します.

例えば、東豊先生は「お祈りのワーク」を推奨しています。
Clさんが「私は○○を許します」という言葉を毎日、できれば鏡に向かいながら唱えるのです。
そうすることによって心の曇りとなっている恨み(N要素)は実際少なくなって行きます。
その結果、心が解放されて心的症状が改善されることにつながります。


4.Clと周囲の人との間でP循環が起こるようにする

5.結果、ClのP気が強くなり症状や問題が解消する

何故、P循環療法が効果的なのかというと、
自分がアファメーションしているからだと考えられます。
自分で「 許す」と宣言した上で、他人を怨むことは自己矛盾になります。
人間はこの矛盾(認知的不協和)を嫌います。
そして、自己矛盾を解消するためにP要素の方に自分を修正していこうという働きが生じると言えます。

いかがだったでしょうか?

気になった方に書籍をいくつか紹介しておきます。

一般向け

by カエレバ
カウンセリング前に患者さんに読んでいただくのもオススメ。



専門家向け

by カエレバ