ヒカリノ公認心理師ノート

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診断基準を覚えよう〜双極性障害〜


覚えるポイント
- 躁病エピソードの主症状7つ(基準B参照)
- 双極Ⅰ型と双極Ⅱ型の違い
・一生のうち一度でも「躁病エピソード」があったら双極Ⅰ型。
・Ⅱ型は「軽躁エピのみ」で躁病エピは無し。
- 躁病エピソードと軽躁エピソードの違い
・躁病エピは社会的・職業的機能に著しい障害が出てる or 入院が必要なレベル or 精神病症状あり。
・軽躁エピはそこまででもなく、入院も必要でなく、精神病症状も伴わない


上記のポイントを含めて重要箇所は赤字で示します。

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全文

● 双極I型障害
A.少なくとも1つ以上の躁病エピソード(下記「躁病エピソード」A~D)に該当すること。

B. 躁病エピソードと抑うつエピソードの発症が、統合失調感情障害、統合失調症統合失調症様障害、妄想性障害、または、他の特定されるまたは特定不能統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害ではうまく説明されない。

● 躁病エピソード
A.気分が異常かつ持続的に高揚し、開放的または易怒的となる。加えて、異常にかつ持続的に亢進した目標指向性の活動または活力がある。このような普段とは異なる期間が、少なくとも1週間、ほぼ毎日、1日の大半において持続する(入院治療が必要な場合はいかなる期間でもよい)。

B. 気分が障害され、活動または活力が亢進した期間中、以下の症状のうち3つ(またはそれ以上)(気分が易怒性のみの場合は4つ)が有意の差をもつほどに示され、普段の行動とは明らかに異なった変化を象徴している。

1.自尊心の肥大、または誇大
2.睡眠欲求の減少(例:3時間眠っただけで十分な休息がとれたと感じる)
3.普段より多弁であるか、しゃべり続けようとする切迫感
4.観念奔逸、またはいくつもの考えがせめぎ合っているといった主観的な体験
5.注意散漫(すなわち、注意があまりにも容易に、重要でないまたは関係のない外的刺激によって他に転じる)が報告される。または観察される。
6.目標指向性の活動(社会的、職場または学校内、性的のいずれか)の増加。または精神運動焦燥(すなわち、無意味な非目標指向性の活動)
7.困った結果になる可能性が高い活動に熱中すること(例:制御のきかない買いあさり、性的無分別、またはばかげた事業への投資などに専念すること)

C. この気分の障害は、社会的または職業的機能に著しい障害を引き起こしている、あるいは自分自身または他人に害を及ぼすことを防ぐため入院が必要であるほど重篤である、または精神病性の特徴を伴う

D. 本エピソード、物質(例:薬物乱用、医薬品、または他の治療)の生理学的作用、または他の医学的疾患によるものではない。

注:抗うつ治療(例:医薬品、電気けいれん療法)の間に生じた完全な躁病エピソードが、それらの治療により生じる生理学的作用を超えて十分な症候群に達してそれが続く場合は、躁病エピソード、つまり双極I型障害の診断とするのがふさわしいとする証拠が存在する。



● 軽躁病エピソード
A.気分が異常かつ持続的に高揚し、開放的または易怒的となる。加えて、異常にかつ持続的に亢進した活動または活力のある、普段とは異なる期間が、少なくとも4日間、ほぼ毎日、1日の大半において持続する。

B. 気分が障害され、かつ活力および活動が亢進した期間中、以下の症状のうち3つ(またはそれ以上)(気分が易怒性のみの場合は4つ)が持続しており、普段の行動とは明らかに異なった変化を示しており、それらは有意の差をもつほどに示されている。

1.自尊心の肥大、または誇大
2.睡眠欲求の減少(例:3時間眠っただけで十分な休息がとれたと感じる)
3.普段より多弁であるか、しゃべり続けようとする切迫感
4.観念奔逸、またはいくつもの考えがせめぎ合っているといった主観的な体験
5.注意散漫(すなわち、注意があまりにも容易に、重要でないまたは関係のない外的刺激によって他に転じる)が報告される。または観察される。
6.目標指向性の活動(社会的、職場または学校内、性的のいずれか)の増加。または精神運動焦燥
7.困った結果になる可能性が高い活動に熱中すること(例:制御のきかない買いあさり、性的無分別、またはばかげた事業への投資などに専念すること)

C. 本エピソード中は、症状のない時のその人固有のものではないような、疑う余地のない機能的変化と関連する。

D. 気分の障害や機能の変化は、他者から観察可能である。

E. 本エピソード、社会的または職業的機能に著しい障害を引き起こしたり、または入院を必要としたりするほど重篤ではない、もし精神病性の特徴を伴えば、定義上、そのエピソードは躁病エピソードとなる。

F. 本エピソードは、物質(例:薬物乱用、医薬品、あるいは他の治療)の生理学的作用によるものではない。



抑うつエピソード
A.以下の症状のうち5つ(またはそれ以上)が同じ2週間の間に存在し、病前の機能からの変化を起こしている。これらの症状のうち少なくとも1つは、(1)抑うつ気分、または(2)興味または喜びの喪失である。

注:明らかに他の医学的疾患に起因する症状は含まない。

1.その人自身の言葉(例:悲しみ、空虚感、または絶望感を感じる)か、他者の観察(例:涙を流しているようにみる)によって示される、2.ほとんど1日中、ほとんど毎日の抑うつ気分。 (注:子どもや青年では易怒的な気分もありうる)
3.ほとんど1日中、ほとんど毎日の、すべて、またはほとんどすべての活動における興味または喜びの著しい減退(その人の説明、または他者の観察によって示される)
食事療法をしていないのに、有意の体重減少、または体重増加(例:1ヵ月で体重の5%以上の変化)、またはほとんど毎日の食欲の減退または増加(注:子どもの場合、期待される体重増加がみられないことも考慮せよ)
4.ほとんど毎日の不眠または過眠
5.ほとんど毎日の精神運動焦燥または制止(他者によって観察可能で、ただ単に落ち着きがないとか、のろくなったという主観的でないもの)
6.ほとんど毎日の疲労感、または気力の減退
ほとんど毎日の無価値感、または過剰であるか不適切な罪責感(妄想的であることもある、単に自分をとがめること、または病気になったことに対する罪悪感ではない)
7.思考力や集中力の減退、または決断困難がほとんど毎日認められる(その人自身の言葉による、または他者によって観察される)
8.死についての反復思考(死の恐怖だけではない)。特別な計画はないが反復的な自殺念慮、または自殺企図、または自殺するためのはっきりとした計画

B. その症状は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

C. そのエピソードは物質の生理学的作用、または他の医学的疾患によるものではない。

注:診断基準A~Cにより抑うつエピソードが構成される。抑うつエピソードは双極I型障害でしばしばみられるが、双極I型障害の診断には必ずしも必須ではない。 注:重大な喪失(例:親しい者との死別、経済的破綻、災害による損失、重篤な医学的疾患・障害)への反応は、基準Aに記載したような強い悲しみ、喪失の反芻、不眠、食欲不振、体重減少を含むことがあり、抑うつエピソードに類似している場合がある。これらの症状は、喪失に際し生じることは理解可能で、適切なものであるかもしれないが、重大な喪失に対する正常の反応に加えて、抑うつエピソードの存在も入念に検討すべきである。その決定には、喪失についてどのように苦慮を表現するかという点に関して、各個人の生活史や文化的規範に基づいて、臨床的な判断を実行することが不可欠である。