ヒカリノ公認心理師ノート

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前頭前野の機能

前頭前野は肉眼解剖学的に、背外側面、眼窩面、内側面(前帯状回)の3つの部分にわかれる。

・背外側前頭前野
眼窩前頭皮質
・前帯状回


それぞれの部位に障害があると、次の機能に障害が生じる。

背外側前頭前野が障害されると....
・作業記憶(ワーキングメモリ)の低下
・注意集中、注意制御機能の低下=物事に集中できない。持続性、選択性、分配性。
・判断力の低下
・遂行機能の低下=目標設定、計画をたて、それにそって行動し、モニタリング、行動を制御。
・問題解決能力の低下=物事を整理し順序よく実行したり、正確に判断し、計画をたてることができない。時間を配分する、先を見通すなどの概念形成能力が低下する。その結果、問題解決能力が低下する。
・学習能力の低下=経験から学習できない、新しいことが学習できない。
・我慢できない
・行動、発話の時間の前後関係を統合的に調節できなくなる
・自発性の低下
・保続傾向、固執傾向=いったん誘発された反応や知覚が不適切に繰り返される。構え(セット)の転換障害。
・関心、興味の低下=無関心、周囲に対する関心、興味を失う。セックスに対する興味を失う。
・自信の喪失





眼窩前頭皮質が障害されると....
前頭前野眼窩部は大脳辺縁系との連携があり、この部位が障害されると辺縁系の活動の調整、統合に障害が生じる。

・抑制力の低下=衝動をおさえられない(いわゆる強迫性)。
・衝動的行動=性急、考えずに行動する、爆発的、攻撃的行為、怒りっぽい、不適切な言動(わいせつな発言や行為、悪ふざけ、軽薄な行為、窃盗、過食)など、自己制御ができず、それが適切でないことを意識しているが反社会的行動に走ってしまう。抑制のきかない、無神経な、場面に不適切な行動がみられる。
・無茶な判断・行動= リスクの高い行動の選択
(これは辺縁系との連絡が途絶えることとも関与しており、単なる脱抑制、衝動的な行為の結果ではないという)
・転導性・被刺激性の亢進 =すぐ気が散って本来の行動が中断する、模倣行為。
・思いやりの欠如=周囲に対する思いやり、配慮が欠けてくる。つまり相手の気持ちを読む力、同情心、感情の移入などが損なわれる。
・対人関係の問題=感情や衝動統制、対人関係の調整ができない
(※この部位の障害では、背外側の障害でみられるような記憶力、注意力、作業記憶などの認知機能には明らかな異常はみられない。知能検査も正常である)


帯状回が障害されると....
この部位は帯状回・補助運動野と関連しており、この領域の機能のバランスが崩れることによって様々な症状がみられる。

・発動性低下、意欲低下、発語低下、運動量低下、無関心、無感動
帯状回と補助運動野の連絡が絶たれる(両側帯状回の障害)と発動性の低下、周囲に対する無関心、興味の喪失など、いわゆるabulic syndromeがみられる。何ごともやる気がなくなり(意欲低下)、発話量は減り、寡動となる。表情も乏しくなる。その結果、企画遂行障害がみられる。障害が広範な場合は無言無動症となる。
・前部帯状回視床との連絡が絶たれる場合も無関心状態になる。片側の帯状回の障害では運動無視がみられることがあるが、これは片側性のabuliaと解釈できる。